咬まないへび

朗らか・前向き・社交的。
社会的に望ましいとされる性質ではあるけれど、それだけでは僕の心は満たされないらしい。

仄暗い中身の小説に心惹かれて、今の自分に足りないものはこういうものだ、と感じた。
建設的な姿勢に疲れていた僕は、いくばくかの休みを取りたかった。
心をひんやりとした沈黙の中へと浸すイメージを思い浮かべた。

小さな憎しみや怒りを抱く自分自身に対して、奇妙な安堵を覚えることがあった。
これも否定しようのない、愛すべき自分の一面だと。
心の中で思うだけなら、誰にも迷惑をかけやしない。

陰陽の陰、静と動の静、天使と悪魔なら悪魔の側。
小さなへびを家で飼うように、そうしたものを心の内でこっそり愛でる。
外へ逃がせば疎まれるものが、全て悪いものだとは限らないのだから。


(ひさしぶりの更新なのに陰気な感じだけど、これでもおおむね元気ですよ……!)